名のない星 〜フォトグラファー小松由佳のかたつむり的一歩一歩〜

ドキュメンタリーフォトグラファー小松由佳の、日々の素晴らしき出会いや思いを写真とともにつづります。

ヨルダンから帰国して一ヶ月 

 

五月にシリア難民の取材のためヨルダンに行き、帰国して一カ月が経った。一歳を迎えた息子をおぶっての子連れでの撮影は、予想してはいたがまさにパニック取材であった。

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子連れであるということは、フォトグラファーである前に母であらねばならない。

泣き始めると子どもをあやし、おっぱいをあげ、オムツを取り替え、走り回る息子に気をとられながら、対象と向き合って写真をとるのは容易ではなかった。

結果、写真を撮るうえでの決定的瞬間を何度も逃し、さらに見返してみると、なんとほぼ全ての写真に息子が写り込んでいるではないか!

つまり、息子が自分の手元を離れたときしか写真を撮れなかったということを改めて知ったのだった。

 

今回のヨルダンでは、これまでのように一対一でじっくりと人と向き合い、話をお聞きし、写真を撮らせていただくことはできなかった。

その衝撃は落胆に似た感覚で私を襲ったが、しかし子連れだったからこそ撮れた写真を撮ったともいえる。

 

日々は一期一会の出会いの連続。

過ぎてしまえば二度と触れることができないその時その時を、思いをこめて写し取っていたい。

いっぱいの愛情とともに。

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